本のご紹介

「天は二物を与えず」ということわざがあります。この言葉を耳にすると身近で思い浮かぶ人がいませんか。
今回はその言葉がふさわしい方についてお話したいと思います。
東大の現役の医師であり、がん患者という前田恵理子先生です。

Berry&Roseでは、月2回、東大病院で外見ケアイベントに参加させて頂いています。
前田先生とは去年の2月の外見ケアイベントでウィッグを試着していただき、
その場でご予約、2日後にはサロンでウィッグを選ばれてカットというあっという間の 流れの中での出会いでした。

その後も度々イベントに来てくださり、明るく気さくな人柄で楽しくお話をしていかれます。
とてもお忙しい先生で治療前後も講演会や講義など沢山抱えておられました。
そんな中での本の執筆にも驚きましたが、小学生低学年のお子様もおられ一体いつ休むのだろうと・・・
5月に出版されたブログを元にした本は、

『Passion(パッション)受難を情熱に変えて〈Part 1〉』です。

こちらの〈Part 1〉には、幼少期の生活や桐蔭中高時代からの超重症喘息や医学部時代からの 在宅酸素療法導入に至る経過が書かれています。
更に、使用したステロイドの副作用により大腿骨頭壊死、電動車いす生活等も語られています。
そのような状態で、東京大学理科三類卒業、東京大学総長賞、北米放射線学会最高賞受賞という素晴らしい経歴をもち、 東大のオーケーストラのコンサートマスターを務める事は並大抵ではありません。
その後、結婚、出産を経て長男4歳の時(37歳)に肺がんになってしまいます。
所々、結婚にまつわるくすっとしたエピソードやこんなことあるよねといった事が ちりばめられている書籍となっています。

そして、12月には第2弾が出版されました。

『Passion(パッション)受難を情熱に変えて〈Part 2〉』

〈Part 2〉には、4度に渡る再発を繰り返す肺がんについてがメインとなっています。5年生存率3割と言われる肺がんに 色々な治療方針を取り入れる過程が詳細に分かり易く書かれています。
ご自身が医師という事で病状や治療に関する記述はリアルですが、一方で冷静に客観的に捉えられている様子が分かります。
また、毎月2回開催のされている東大の外見ケアイベントを見学された時の模様も記されています。
息子さんを思う日常生活や切ない気持ちがつづられており母親としての顔が垣間見える場面もあります。

〈Part 1〉〈Part 2〉共に言葉の遣い方や文章のセンスが絶妙でじんと心に迫ってくる素敵な本です。
詳細をもっとご紹介したいところですが・・・是非、ご興味のある方はアマゾンや東大の売店で購入出来ます。
サロンにもございますので、ご来店の際はお手に取ってみてください。

サロンでもイベントの際もとても明るく気さくな前田先生。先日のイベントでは気象予報士の試験を 受けられるとおっしゃっていました。バイオリンにしろ気象にしろ趣味とは言えないレベルにしてしまう 先生に脱帽ですが、そもそも情熱と呼べるほどに何かに向けて努力するからこそ苦難にも立ち向かえるのだと納得もします。 物事に対する取り組み方が生き方にも反映され評価にもつながるとはこういう事なんだと感じます。

また、今回の2冊の本の表紙や裏に使用されているお写真はウィッグを着用しているものです。 とても自然に被られていて嬉しい限りです。
現在、日本経済新聞で連載をされています。(1/13・1/27・2/3・2/20掲載予定)
こちらも機会がございましたらご購読下さい。

※以前のブログでも紹介ましたが、分田先生の「女性のがんと外見ケア 治療中でも自分らしく」も
治療中の方にはおススメの本です。